初来日 クティ講師インタビュー 東京でLDTセミナー開催 - AJOA 全日本オステオパシー協会

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初来日 クティ講師インタビュー 東京でLDTセミナー開催

リンパを通して液モデルを学ぶ
カイロジャーナル89号 (2017.6.19発行)より

Dsc01946e1505689289107ビヘジェイ・クティ氏

アメリカを拠点に世界的に独自の治療テクニック・セミナーを開催
しているチクリ・へルス協会(CHI)のリンパドレナージセラピー(LDT1)セミナーが、全日本オステオパシー協会(AJOA)の主催で5月3~6日、東京のYMCAアジア青少年センターで開催された。

AJOA会員のほか、日本オステオパシー連合(JOF)会員、医療系有資格者を対象としたもので、日本で初めてのCHIの正規コースの開催だった。AJOAでは今後毎年CHIセミナーを開催する予定である。

来日した講師、ビヘジェイ・クティ公認インストラクターにお話を伺った。

トルコからアメリカへ

――今回が初来日ですか?そうです。

セミナー開始前に、主催の全日本オステオパシー協会(AJOA)の先生方が日光の温泉旅行に連れて行ってくださり、浴衣を着るなどとても楽しい体験ができました。私はトルコ出身で幼いときに公衆浴場に行った思い出がありますが、日本の温泉文化はまた独特でよいですね。

Dsc01952e1505689371662国内で講義するビヘジェイ・クティ氏

――今はテキサスで開業されているのですよね。

はい。海洋生物学を勉強したくてアメリカに来て以来ずっとテキサスにいます。その後、マッサージを習い、自分に合っていたのでこの道に進みました。

その後いろいろな手技を勉強する中、ブルーノ・チクリのリンパドレナージ・セミナー(LDT)に出会い、自分にとってのミッシング・リンクだと感じました。自分自身が子供のころから足首の腫脹に悩むことが多かったこともあって、強く興味を持ちました。ブルーノに誘われて、2000年からCHIの講師を務めるようになりました。

――CHI講師は何人いるのですか?

アクティブに教えているのは6人です。私はその中で古い方の講師ですね(笑)。かつては1年に20近くのセミナーを行っていましたが、多過ぎたので今は減らしています。でも日本で教えることはすごくも楽しんでいますよ。参加者はとても熱心で、オステオパシーの経験の長い方も多く、とても教えやすいです。

革新的なリンパ・マッピング技術

――リンパ・ドレナージュはマッサージ学校でも教えられており、比較的普及している技術ですが、CHIのリンパ・ドレナージュの特徴は何でしょうか?

CHIのLDTは、他と全く異なる革新的なものです。手技の歴史の中で、初めてリンパのリズムを感じることを教えました。そしてリンパの通り道をマッピングする技術も教えました。これにより、リンパの流れが正常なのか、異常なのかがわかるようになりました。リンパの流れが把握でき、異常な流れを正常化させる治療ができるということは画期的なことです。

初期のころはCHIでもリンパ浮腫に対するバンデージを教えていました。これはガンの手術後などにとても役立つテクニックです。しかし多くのところで教えているので、CHIで教えるのは中止しました。もっとユニークな全身の液モデル・システムについて教えることに焦点を当てたいからです。習得していくと、身体の中のあらゆる深さでリンパにアプローチでき、非常に微細な構造まで特定できるようになっていきます。

――どうしたらより正確に微細な解剖学的構造にアプローチできるのでしょうか?

LDTコースで言うと、リンパ系のマッピングとリズムまでは、私は誰にでも教え、感じてもらうことができます。時間がかかる人も、かからない人もいますが。

「感じられない」という人の多くは、手の感覚が鈍いのではないと思います。それより、固有受容器が受け取った感覚を、脳がどう聴けばいいのかわかっていないようです。固有受容器、神経伝導路、脳が通じていること、オープンであることが必要です。

「感覚がわかる」ようになるのは、反復練習による場合もあれば、セラピーを受けることでわかるようになる人もいます。また、抱えている感情の問題がなくなることで、わかる人もいます。感じているのにそれを信じられない人もいます。そうなると、触診スキルよりも信念システムを変えることの方が大事になってきます。教室では「マインドを切って、ハートスペースに落ちなさい」とアドバイスしています。

Dsc01932e1505689143486セミナー最終日の様子

喜びと快適さを持って学ぼう

――教えることがお好きなようですね。

CHIのコースを取って、人生が変わる経験をする人をたくさん見ています。「10年前、この仕事をやめようかと悩んでいたときに、あなたのLDTコースを取って、変われました。今も幸せに同じ仕事をしています」と言われたこともあります。

私は「生徒が喜びと快適さを持って学べるように」ということをいつも考えて教えています。その方がよく覚えられるからです。ただ、私にとって教えることは、よりよく学んでもらうためだけではないと感じています。LDTを始め、CHIで教えているのは心の旅路とも言える世界。学ぶことでそれぞれの人生が開いていくのを目撃し、その変化をサポートし、促進したいと願っています。

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